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インタビュー

 
声を出すと気持ちいいの会 
主宰・脚本・演出
山本 タカ

明治大学文学部文学科演劇学専攻・既卒

声を出すと気持ちいいの会とは?
2008年明治大学演劇学専攻在学中の男子学生で旗揚げ。「なんだか分からないけど、思いきり声を出すとすっごい気持ちいい」という人間の普遍の性質を根底に置き、全てを緻密な計算のもとに、鮮やかで広大な劇世界を創作している。

●今年も始まります、代表インタビュー!1発目は、一番最初に公演の「声を出すと気持ちいいの会」です。
まず団体について教えてください。いったいどんな団体なのでしょうか?

初めまして。声を出すと気持ちいいの会、主宰の山本です。よろしくお願いします。
うちは、近代小説や古典戯曲を原作として、そこから読み取れる現代的なテーマを基に、作品にしています。基本的に原作となる物語等を複数用意し、それらをミックスすることで、小説の舞台化にならない、より壮大な物語の創作を目指しています。劇場以上の広大な世界や、上演時間以上の長い歴史を体験してほしいなあ、と。
したがって演出も派手なものになる傾向があります。
役者の肉体・発声の基礎というものもかなり鍛えています。劇団員は役者が男だけだっていうのもあり、キツイことにも対応してくれるので。

●劇団をつくったきっかけというのは何ですか?
大学入学当初、みんな結構演劇サークルとかに入っていて―僕もそうだったんですが―演劇やってたんですけど、サークルっていうものの縛りに窮屈さを感じてて……。やっぱり先輩後輩の関係はあるし、そのサークルが持っている芝居の色も左右される。もっと自由に芝居をやりたいと思って、同じクラスだった、演劇学専攻の仲間が集まって芝居を始めました。それが声を出すと気持ちいいの会です。

●一度聞いたら忘れられない名前ですが、団体名の由来は?また、愛称はありますか?
愛称というか、通称はコエキモです。KOEKIMOと表記したりします。
由来は、悪ふざけが8割、あとはインパクト(笑)。字面でも、目につきますしね。
名は体を表すじゃないですけど、結果的に発声をかなり意識した集団になったのは、よかったと思います。それを通して、役者の演技基礎全般に目が行くようになりました。


●ここがうちの劇団のいいところ!悪いところ!というのを教えて下さい。
僕たちは、活動を始めて、この春で4年目に入ったのですが、学生にしては、劇団の活動期間が長いっていうのが、いいところだと思っています。最近ひしひし感じるのは、役者の積み重ねてきた基礎稽古が確実に成果を出してきていることや、僕の作りたい世界観を役者もスタッフも感覚で理解してくれていること。本当にありがたいなあ、と。あとは、付き合いが長いから、忌憚ない意見の交換ができることですかね。お互いの芝居に対する尊敬があるからこそ、作品についてどこまでも議論できるし。劇団ならではのメリットだと思います。
悪いところは、やはりアクの強い芝居を続けていると、それに縛られることです。新しいことをやろうと思っても、続けているうちに思考が固まってきてしまうところですね。

●明治大学の演劇活動環境について劇団の数や、普段の稽古や公演の場所など教えて下さい。
サークルは、三つ四つありますけど。そこから派生した劇団だったり、ユニットの数になると、もう把握しきれないです。盛んなのかな?明治は。明治には、文学部の中に演劇学専攻というクラスがあって―授業は座学なんですけど―そこから派生したうちみたいな、サークルとは無縁のとこもいっぱいありますしね。
普段は、大学の校舎で練習しています。コエキモの場合、公演場所は、駿河台校舎にある、演劇スタジオBというところでやっていたのですが、他にも、アートスタジオや、学生会館、005番教室といった名称の、演劇公演ができる場所がいくつかあります。

●今までの明治の参加団体は活劇工房系の団体ばかりだったのですが、何か違いとかはありますか?
明治大学って、校舎が3ヶ所に分かれているんですよ。活劇の拠点は、明大前にある和泉校舎、僕たちは御茶ノ水にある駿河台校舎で公演をすることが多いんです。
活劇はサークルですが、今回、明治から芸術祭に参加する団体、コエキモ、神と仏、DOOはどれも演劇学専攻出身の奴らばっかで。やっぱりサークルとはちょっと違う。何がって言ったら、言葉では言えないんだけど…。どっちも面白いでしょうけど、その違いを、観て感じてもらえたら嬉しいですね。

●今回このようなフェスティバルに参加になるわけですが、今まで学外の劇団などとの付き合いはありましたか?
ほとんどないですね。知り合いが出てる他大学の作品を観たりはするのですが、そこまで、って感じで。なので、今回、いろんな大学の人に出会えて新鮮ですね。輪が広がればいいなって思います。

●明治大学のお勧めスポットはどこですか?理由も教えて下さい。
アカデミーコモンっていう劇場っていうか講堂の入った建物がお茶の水にあるんですが、たまに外国のいいカンパニーが来て公演したりするんですよ。オススメです。
年に1回、学生がそこでシェイクスピア劇をやったりもしてるんですよ。





●次は山本さん自身についてお伺いします。演劇をやりたいと思ったり、自分で創り始めたのはいつからですか?そのきっかけは何ですか?
芝居は高校時代からやっていました。その頃、DVDで野田秀樹さんが昔やってた劇団夢の遊民社『半神』を観たんですけど。「うわ、やべぇな」って。そこからですね、芝居をやろう、って強く思い始めたのは。
初めて演出をしたのは、KOEKIMOの第2回公演、大学2年の秋でしたね。脚本は―今回再演する作品なんですが―第三回公演の「黒猫」、大学3年の春が初めてでした。
それまで役者をやっていたんですが、いまいち自分に役者の才能がないことに気付いたのが、脚本・演出をやり始めたきっかけの一つです。もう一つは、芝居を観たときの感想を周りと話したとき、僕が演出家目線で芝居を見ていたことに気付いたこと。演技がどうだとかじゃなくて、劇構造とか演出ばかりに目が行っていた。それで、ちょっと演出やってみようかなって思ったのが始まりでした。

●今の自分にとって演劇はどのような存在ですか?
別にメッセージを伝える手段だとか、社会を変える手段だとは思っていません。でも、エンターテイメントであるとも、芸術であるとも思っています。たぶん板前さんにとっての料理という存在とか、教師にとっての教育という存在って言うのが一番近いと思います。

●演劇以外に好きなものがあったら教えてください。
そういうものがあれば芝居やってなかったんだろうなぁと思います。
漫画も映画も、音楽も、(演劇とは別で)好きですけどね。スポーツは嫌いです。(笑)

●演劇・映像などジャンルに関係なく、多くの人に観て欲しい!というお勧めの作品があれば教えてください。
声を出すと気持ちいいの会の作品ですね。これ絶対観るべきです。必見です。過去公演のDVDを販売するので、是非買ってください(笑)。





●芸術祭の話に戻ります。「学生演劇」というくくりについて何か思うところはありますか?
特に抵抗はないです。学生演劇でも面白いところは面白いですし。たぶん「小劇場演劇」とか、「商業演劇」とかの言葉と同じぐらいの意味合いだろうから。でも、周りから見て「ぬるいな」って思われるのは悲しいですね。

●シアターグリーン学生芸術祭についてどう思っていますか?良いところ、悪いところ、期待するところ、気になるところ・・・忌憚のないご意見をお聞きします。
いろんな大学のいろんな演劇が見られるのは単純に楽しみですね。芸大の方とか美大の方とかいるし、それぞれの大学が持っている気風みたいなのが出てくるのかなとも思いますし。
ただ、うちがトップバッターなので、この芸術祭が終わる頃に印象が薄れたら嫌だな〜と思います(笑)。一か月もあるし。

●先日は交流ワークショップのリーダーを務めていただきましたね。基本を大事にする、それでいてわかりやすく楽しい、非常に良いワークショップだったと思います。山本さん自身はいかがでしたか?
すごく地味なことやっちゃって、「皆さんに楽しんでいただけたかなぁ」というのが心配です。基礎トレ紹介みたいになっちゃいましたし。でも、これだけ多くの人がいると、僕自身も勉強になるところがすごくありました。俳優力みないなものを根本的に養うワークショップというか、そういう稽古もしないとって思いました。
あと皆さんが、舞台で腹式呼吸を意識していない、と言っていたのが驚きました。時代はそうなんだ、と。もしかしたら、かなり僕たちは古臭いことをやっているのかも、とも思いましたしね。



●今回の作品についてネタバレにならない程度に教えてください。一体どんな作品になるのでしょう?
今回は、脚本・演出を一新しての再演なので、初演とはかなり違うものになると思います。初演は短編小説『黒猫』と、ポオの人生がミックスする話だったんですが、今回はさらに加えて彼が書いた詩を添えて物語を創作しようかと。それが大きな変化じゃないかなぁ。初演の持っていた良さをそのままに、さらに新たな要素を組み込んで、よりスタイリッシュなホラーになればと考えています。それでもやはり見どころは、初演から変わらず変幻自在のコロス、黒猫の存在かな。初演から二年の時を経て、彼らをさらに面白い使い方ができればと思っています。期待に応えつつ予想を裏切るものにしたいです。


●ありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました!
皆様、声を出すと気持ちいいの会『黒猫』是非是非見に来てください!



参加作品:『黒猫』
  黒服のコロス「黒猫」達が、多彩な発声と身体表現を駆使し、
幻想と狂気に満ちたポオの生涯を、壮絶に描いたKOEKIMOの代表作。
初演から二年。脚本から一新し、より洗練された衝撃作となって蘇る。
 
 作・演出:山本タカ
 出演:石綿大夢 草野峻平 後藤祐哉 飯島周平 遠藤甚一朗 加藤みさき 西尾智仁